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第5章 神話を降りた父――それでも関係は続けられるか

――それでも関係は続けられるか

ウルトラセブンは長い間、神話だった。

孤高で、厳格で、
正義を断定できる存在。

だが神話は、近づけない。

レオは追い込まれ、
メビウスは距離を感じ、
そしてゼロは――拒絶した。

父である前に、
彼は象徴だった。

だが象徴は、子にとっては重い。


■ ゼロは父を拒絶した

ゼロは一度、道を踏み外す。

未熟さゆえの過ち。
力への焦り。
そして父への反発。

彼は父の背中を継ごうとはしなかった。

拒絶した。

これは継承の失敗だろうか。

それとも、神話が崩れる瞬間だったのか。

父がどれだけ成熟しても、
子がそれを受け取るとは限らない。

関係は、片側の努力だけでは成立しない。

ここが、父性の本当の痛みだ。


■ 降りても、伝わらない

神話を降りるのは勇気だ。

完璧をやめる。
象徴をやめる。
距離を縮める。

だが近づいたとき、
拒絶される可能性がある。

「今さら何だ」

「分かったような顔をするな」

「あなたは分からない」

その言葉は、
父を神よりも傷つける。

セブンもまた、
その痛みを知っている。


■ それでも降り続ける

ではなぜ、彼は降り続けたのか。

神話に戻る方が楽だったはずだ。

距離を取り、
象徴のまま崇められ、
理解されない痛みを避けることもできた。

だが彼は選ばなかった。

拒絶されても、
衝突しても、
関係を断たないことを選んだ。

父とは、
理解されることではない。

関係を切らないことだ。


■ 社会という父の失敗

社会はどうだったか。

氷河期世代が足場を失ったとき、
社会は神話の側に留まった。

「前はやれた」
「努力すれば報われる」
「お前たちが弱い」

降りなかった。

構造の変化を認めなかった。

だから拒絶が深まった。

世代は分断され、
問いは凍った。

もし社会が神話を降りていたら。

「時代が変わった」
「我々も間違えた」
「それでも関係を続けよう」

そう言えていたら。

何かは違ったかもしれない。


■ 継承は成功しないこともある

レオが立てたのは奇跡だ。

メビウスが継げたのも奇跡だ。

ゼロが戻ってきたのも奇跡だ。

継承は必然ではない。

潰れたレオの世界線もあった。

戻らないゼロの可能性もあった。

成熟しても、
うまくいかないことはある。

それでも成熟とは、
諦めないことだ。


■ 父の最終形

神話は崇められる。

父は拒絶される。

神話は遠い。

父は近くで傷つく。

だが未来は、
神話からは生まれない。

衝突の中からしか、生まれない。

セブンは怪獣を倒す存在から、
拒絶されても関係を続ける存在へ変わった。

それが、成熟の最終形だ。


■ 我々はどうするか

我々もまた、
どこかで神話を背負っている。

職場で。
家庭で。
社会の中で。

「こうあるべきだ」
「失敗してはいけない」
「弱さを見せてはいけない」

だが神話でいる限り、
距離は縮まらない。

降りたとき、
拒絶されるかもしれない。

それでも降りるか。

それでも関係を続けるか。

それが、父になるということだ。


■ 少しだけ近づく

かつて手の届かない憧れだった存在。

だが今、
彼の孤独や痛みが分かるなら。

拒絶されても立ち続ける姿に
胸がざわつくなら。

それは、
少しだけ近づいているということだ。

モロボシ・ダンも、
完璧ではなかった。

理解されないこともあった。

それでも関係を選んだ。

ならば我々にも、
同じことが少しはできるのではないか。

神話でいなくていい。

拒絶されても、
関係を続けることを選べるなら。

それは、
英雄に近づくことではなく、

父になることなのかもしれない。

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