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壊れた獣は牙を得る―ブレードライガーという進化

漫画・アニメ・ゲーム

――ブレードライガーという進化

シールドライガーは敗北した。

それはゾイドという物語の中でも、
多くの視聴者に衝撃を与えた瞬間だった。

それまでの世界では、強さの構図はある程度はっきりしていた。

共和国の象徴
シールドライガー

帝国の象徴
セイバータイガー

ライオンと虎。

この二つは互角の存在だった。

パイロットもまたそうだ。

バンの才能

最初の戦いでは
バンはレイヴンにまったく届かなかった。

レイヴンは帝国のエースパイロットだった。

戦闘経験。
操縦技術。
戦場の判断。

すべてが違った。

一方のバンは
ゾイドに乗り始めたばかりの少年だった。

勝負にならない。

そう思われていた。

しかし、物語が進むにつれて
その評価は少しずつ変わっていく。

ハーマンの助言を受けた戦いで
バンはレイヴンの駆るセイバータイガーと互角に戦う。

レイヴンの癖を見抜き
シールドアタックを直撃させる。

それは偶然ではない。

才能だった。

この頃になると
バンの操縦技術は明らかに変わっている。

しかしまだレイヴンには届かない。

だが少なくとも

完全な格下ではなくなった。

むしろ状況によっては
追い詰めることすらある。

つまりこの時点で

未熟な少年
vs
帝国のエース

という関係は

成長するパイロット
vs
天才パイロット

へと変わりつつあった。

そして視聴者も思う。

「次は勝てるかもしれない」

と。

その瞬間だった。

ジェノザウラーが現れたのは。

巨大な恐竜型ゾイドの前に
シールドライガーは

為す術なく破壊された。


世界の強さが変わった瞬間

世界の強さが変わった瞬間

この敗北が衝撃だった理由は
単に主人公が負けたからではない。

それまでの戦争は

獣同士の戦い

だった。

ライオン。
虎。
狼。

強さの違いはあっても
同じ世界の生き物だった。

しかしジェノザウラーは違う。

あれは

兵器

だった。

荷電粒子砲。
圧倒的な装甲。
破壊力だけを追求した設計。

そこにあるのは

戦争の論理だけだ。

ジェノザウラーは兵器だった。
ブレードライガーは、進化した生命だった。


二つのオーガノイド

この戦いにはもう一つの対比がある。

オーガノイド。

ゾイドの力を引き出す生命体。

しかし、その使い方は二つあった。

ジーク。

バンのオーガノイド。

彼はゾイドの能力を
最大限に引き出す。

ゾイドの生命を高める存在だ。

しかしもう一体。

シャドー。

レイヴンのオーガノイド。

彼の力は違う。

ゾイドを

壊れる前提で限界を超えさせる。

つまり

ジーク
生命の進化

シャドー
兵器の暴走

同じオーガノイドでも
思想はまったく違う。


敗北から始まる進化

シールドライガーは敗れた。

普通のロボットアニメなら
ここで新型機が登場する。

しかしゾイドは違う。

壊れたゾイドは
修理されるのではない。

進化する。

ジーク。
フィーネ。
ゾイドコア。

三つの存在が共鳴し
シールドライガーは変化する。

数日続いた光の繭。

その中から現れたゾイド。

それが

ブレードライガー

だった。


獣であり、騎士である

ブレードライガーの魅力は
単なる強さではない。

その姿には
あるイメージが重ねられている。

騎士

だ。

シールドライガーは
守るゾイドだった。

その名の通り

シールド

盾を持つ獣。

共和国を守る存在。

まるで
王国を守る騎士のように。

しかしブレードライガーは違う。

背中のレーザーブレード。

それは

盾ではない。

だ。

盾を持つ騎士は敗れた。

しかしその騎士は
剣を持って帰ってくる。

それが
ブレードライガーだった。


設計思想という機能美

ブレードライガーのデザインは
単なる武装追加ではない。

脚部はより鋭く。

装甲は流線型になり。

背中には巨大なブレード。

この機体は

突撃するための設計

になっている。

守るゾイドから
切り裂くゾイドへ。

これは単なる強化ではない。

思想の変化

だ。

必要な機能が
そのまま形になる。

これが

機能美

というデザイン思想である。

だからブレードライガーは

ただのロボットではない。

獣として美しい。


子供たちを魅了した理由

そして忘れてはならないのが
玩具としてのゾイドである。

多くのロボット玩具は
ポーズをとる。

しかしゾイドは違う。

歩く。

モーターで脚が動き
ライオンのように前進する。

子供たちにとって
それはロボットではなかった。

生きている機械

だった。

だからゾイドは
強く記憶に残る。

哲学者マッチング

――ブレードライガーの思想を読む

ブレードライガーという存在は
単なる主人公機ではない。

それは

敗北から生まれた進化であり、
機能がそのまま美になる存在だった。

この思想は
二人の哲学者の考えと重なる。


チャールズ・ダーウィン

――進化とは適応である

ダーウィンは進化についてこう説明した。

生き残るのは
最も強い種ではない。

最も賢い種でもない。

変化に適応できた種である。

ジェノザウラーの登場によって
戦場のルールは変わった。

荷電粒子砲。
圧倒的火力。

それまでのゾイド戦とは
まったく違う破壊の論理。

シールドライガーでは
対抗できない。

だから変わった。

背中のレーザーブレード。
高機動の脚部。
近接戦闘能力。

ブレードライガーは
ただ強くなったのではない。

新しい戦場に適応した生命だった。


アリストテレス

――機能こそが美である

古代ギリシャの哲学者
アリストテレスは

存在の価値を
その

機能(テロス)

によって説明した。

ものは
その目的を果たすとき

もっとも美しい。

ブレードライガーのデザインは
まさにそれだ。

背中のレーザーブレード。
突撃するための脚部。
戦闘のためのシルエット。

すべてが

戦うための形

になっている。

装飾ではない。

必要だから
そこにある。

それが

機能美

である。


結論

――進化する騎士

ブレードライガーは
単なる強化機体ではない。

それは

敗北から生まれ
新しい戦場に適応し
機能がそのまま美になる存在だった。

哲学的に言えば

それは

進化する騎士

である。

盾を持つ獣は敗れた。

だがその獣は
剣を得て帰ってくる。

それが

ブレードライガーという進化だった。


エピローグ

子供たちは見ていた。

戦場で。

巨大なゾイドが倒れる瞬間を。

共和国最強の獣。
シールドライガー。

その誇り高い獣が
ジェノザウラーの前に

為す術なく破壊される瞬間を。

あの時、多くの子供たちは思った。

終わった、と。

憧れたゾイドは負けた。
獣では兵器には勝てない。

だが物語は
そこで終わらなかった。

数日後。

光の繭の中から
新しいゾイドが生まれる。

蒼い装甲。
背中の巨大なブレード。

ブレードライガー。

それは新型機ではない。

敗北した獣が
進化した姿だった。

そして子供たちは見ていた。

壊れた獣が
再び立ち上がる瞬間を。

敗北した獣が
牙を得る瞬間を。

壊れた獣は、牙を得る。

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